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超図解鉢形城(15) ~ 御殿郭

 鉢形城の最終回です。

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 「御殿下郭」から、「御殿郭」への登り口です。左が「御殿郭」です。

*碓氷峠を越えて関東に侵攻した「北国勢」の総大将は前田利家でした。

 有利と不利の判断ができる堅実な武将北条氏邦は、北条家の絶対的不利を悟り、利家に対して諸城の城兵の助命嘆願を続けました。


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 「御殿郭」の塁壁です。上の方が切り立っていますね。

*北国勢が鉢形城を包囲したのは、5月中旬であると考えられています。

 5月末には、浅野勢、本多忠勝勢にも鉢形城攻めが命じられ、攻囲軍は5万に膨れ上がりました。


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 登りきった場所は枡形状になっています。右側が「御殿東」です。

*北条氏邦は助命嘆願を続けました。

 はじめは渋っていた秀吉も、前田利家のとりなしを受け入れ、助命開城を認めました。

 城の引き渡しは6月14日に行われたということです。


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 「御殿郭」です。ここで北条氏邦が寝起きしていたのでしょうか?

*北条氏邦は、鉢形城を出ると剃髪して正龍寺へ入りました。

 氏邦のことを臆病者と侮蔑する武将もいたということです。しかし、北条家は他家よりも特段に安い税率で領民の負担を軽くし、民生も充実させていたということです。

 その領民を大切にすることが信条の北条家の武将として、氏邦は自らの名誉を捨てて、領民(兵士も領民です)を守ったのだと思います。


鉢形全体
 外回りは大規模かつ複雑な縄張りの鉢形城ですが、主要部は単純な連郭です。

 叛鬼長尾景春の頃の縄張りにさほど手が加えられていないのではないかと思われます。

 戦国末期に、御殿下郭へ敵兵が進入する事態が生じれば、その時点で落城と判断して良く、これ以上の縄張りの工夫を必要としなかったのだと思われます。

*7月6日、小田原城が降伏し、北条氏は没落しました。

 北条氏政、北条氏照、大道寺政繁、松田憲秀は切腹、当主氏直は高野山へ流配となりました。


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 御殿郭から見下ろす荒川です。

*北条氏邦は、前田利家に預けられ、千石の扶持を与えられました。

 1597年、氏邦が逝去しました。遺骨は家臣が持ち帰り、 「正龍寺」 に葬られたということです。


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 御殿西の手前には若干の段差が残っています。

*前田利家は、氏邦の甥を取り立てて、同じく千石を与えました。

 徳川家康は、「氏邦殿は秀吉公から預かったのだから扶養する義務があったが、甥まで扶養する義理は無いのではないでしょうか」といちゃもんをつけました。


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 御殿西です。窪んでいる部分は池で庭園があったのでしょうか。

*利家は、家康のいちゃもんを上手くかわすと、子の利長へこう語ったということです。

 「徳川家康は天下をねらっており、必ずや私と対立する日が来るだろう。その時に北条の血を引き継ぐかの者を押し立て、私が抱えている松田の子と、お前が抱えている大道寺の子を家老にして、関東に派遣し、蜂起させれば、(家康の領国)関東はただちに当方へ味方するであろう」

 前田利家は間もなく病死し、その深慮遠望は実現することはありませんでした。 


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 御殿西の南側の塁壁は切り立ち、その下には堀がうがたれています。

*鉢形城にはその後代官が置かれましたが、城としての扱いに戻ることはありませんでした。

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 荒川対岸からの遠景でお別れです。

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Comment
今日は残念でした
らんまる様 御来訪ありがとうございます。

 本来ならば今頃らんまる様のご案内で千見城にいるはずでしたのに、誠に残念です。
 おてんとうさまには勝てませんね。

 さて、鉢形城は薄く引き延ばし過ぎて15話にもなってしまいました。
 上杉顕定の死後から、北条氏邦までの間の経緯は、今回、レポートするにあたり、初めて調べつくしました。レポートを続けるのは手間ですが、調べる動機づけをもらえるという点では、私にとってはありがたい存在です。

 御坂城へ行きましたよ!
 虚空蔵山城に登ってしまえばもう怖いものはありません!
 らんまるさんのご案内で虚空蔵山城にお連れ頂いて、私の中のリミッターが破壊されたようです。
 ありがとうございます。

 それでは、千見城ツアーの再挑戦を楽しみにしております。

> 1話完結でテキトーにお茶を濁すような城歴しか書けない小生からみると、丁寧に連続もののストーリーで描いていく貴殿の手法は羨ましい限りです。
> 八王子城と並ぶ名城鉢形城も名こそ知るものの、城歴についてはちんぷんかんぷんだった小生ですが、大変勉強になりました。
> 「敗軍の将、兵を語らず」
> 北条氏邦は名よりも領民を優先したのですね。名将とは華々しい戦で語られる事が多いのですが、こういう英断ももっと知られてしかるべきだと思います。
> 「登ったんだ、御坂城!」期待しております(笑)
とても勉強になりました
1話完結でテキトーにお茶を濁すような城歴しか書けない小生からみると、丁寧に連続もののストーリーで描いていく貴殿の手法は羨ましい限りです。
八王子城と並ぶ名城鉢形城も名こそ知るものの、城歴についてはちんぷんかんぷんだった小生ですが、大変勉強になりました。
「敗軍の将、兵を語らず」
北条氏邦は名よりも領民を優先したのですね。名将とは華々しい戦で語られる事が多いのですが、こういう英断ももっと知られてしかるべきだと思います。
「登ったんだ、御坂城!」期待しております(笑)
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