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犬居城(4) ~ キルゾーン重ね枡形

 犬居城の第4話です。

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 馬出しから、主要空間にはいると、細長いだけで、掘や土塁による遮蔽がありません。

 しかも、断崖である南方向が削り残しで高くなっている。これって防御上の意味があるの?  横堀も主要空間の中央部分があいまいに感じられ、作りかけ? と、3年前は思ってしまいました。

 しかし、これらの構造は作りかけなどではなく、主要空間全体を「重ね枡形」とするために考え抜かれた防御構造だったのです。

 それを語る前に・・・

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 気田川対岸の若身城山から見た犬居城です。

 黒い矢印が犬居城です。写真右側の尾根から登っていくと馬出しに出ます。これが攻城ルート「1」です。

 写真左側の尾根から登って来ると、物見台に出ます。これが攻城ルート「2」です。

 この景色を見て感じたのですが、攻城側は兵力に自信があるのであれば、白い矢印のピークに陣を構えるはずであると・・・ 犬居城を見おろすことが出来ます。

 白い矢印のピークから、谷を隔てて攻め入る。これが攻城ルート「3」です。

zu1.jpg
 この図の手前側から、犬居城の横腹、「F」と「G」にとりつくのが、攻城ルート3です。

 この「F」と「G」から攻め登る攻城兵に対して、守城側は「C」と「E」の張り出しから射撃を加えるとともに、「馬出し」「D」「EとHの間」から、伏兵を出撃させます。

 そして、「D」へと攻城兵を誘導します。

 「D」は、「F」と「G」そして「半ます型B」の三方向から攻撃を加えることが出来るようになっており、究極のキルゾーンとなっています。

 攻城兵が「D」を突破しても、その先も半枡形となっており、三方向からの攻撃にさらされます。

 この重ね枡形を形成するために、主要部の削り残しが必要だったのです。

 この重ね枡形を形成するために、主要部を堀切などで分断しなかったのです。

 武田の縄張りは、地形と目的に応じて融通無碍ですね。

r1875.jpg
 「C」から見た「D」中央やや右下です。奥が「E」です。

 3年前見たときは、横堀の出来そこないかと思ってしまいましたが・・・

 三方向から攻撃が仕掛けられるようになっているのが伝わりますでしょうか?

r1876.jpg
 「半ます型B」側から見た、「D」への小口です。中央が若干へこんでいます。

r1878.jpg
 この写真は、「G」から見た「D」(中央)と、「C」(奥)です。

 この様に明確な張り出しがあるのですが、日本城郭体系掲載図面では張り出しが無いように描かれているのは腑に落ちません。

r1888.jpg
 西側から見上げた「物見台」です。高低差が激しく、この方向からの我攻めは損害が多くなりそうです。

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 「物見台」脇の斜面を、攻城兵が迂回出来ないよう、竪掘が配されています。

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 物見台から見た若身城山(左側:山肌がえぐれている)の風景でお別れです。

 城の縄張りは本当に奥が深いですね・・・

 ホームページ 「土の城への衝動」 > 「静岡の城」
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Comment
縄張り妄想談議
丸馬出し様 御来訪ありがとうございます。

 この城の縄張りはやはり、どうにかして攻城兵をD
の枡形へ誘い込む為の工夫であったと思います。
 本文では触れなかったのですが、GからEへの通路
には、進入を妨げるべくHの郭が配置されています。
 Eへの入口には、おっしゃる通り門が設置され、門
で停滞する攻城兵の背後Hから、射撃が加えられるよ
うになっていたはずです。
 半枡形は、木塀で囲まれ、C方向とE方向に門があ
ったのかも知れませんね。
 良い城の縄張りに対する妄想は、尽きることなく広
がりますね。古宮城もしかりですね。
 マイナーな土の城たちに感謝ですね。
またまたスミマセン
半ます形BとEの間にも
塀があったのではと妄想してしまいました。
そうしますと、Dから半ます形Bに攻め入った
敵兵の背後をEからGを通って
攻撃することができそうかなあと。
発掘すれば本当の姿が分るかとは思いますが
妄想するのも楽しいものですね。

それにしても、古宮城や犬居城は難解ですが
色々妄想できて面白いお城ですねえ
連続ですみません
本郭のE付近の張り出し部には
櫓だけでなく門もあったと妄想してしまいました。
(そうでないとEの守備兵を収容できませんので)

この城の弱点は馬出し方向と水の手方向からの
同時攻撃にあると思いますので
それなりの兵力で攻められたようなかんじですねえ
古宮城とにてますね
縄張り図を拝見して気がついたのですが
細長い本郭の先端には櫓があって
その近くにはDや馬出しからの兵を収容する
門があったのではないかと。
(この櫓は馬出しを敵に取られた際の
回復攻撃する櫓にもなりますし、
敵は門に近ずけないので半枡形Bに向かいます)
そして張出し部にあっただろう木戸は
半枡形B方向に開くようになっていて、
敵は半枡形Bに誘い込まれます。
誘い込まれた敵は、先ほどの門から出撃した
兵に背後を突かれるという防御思想ではないかと
妄想してしまいました。
古宮城の裏側に似たような張出し部
がありますので、このお城は
もしかすると馬場美濃守の縄張りかもしれませんね。
Re: 立体構造物
丸馬出し様 御来訪ありがとうございます。

 Dの退却路は、半枡形の中央部へ土橋状になって続いています。
 半枡形を構成する段差は、さほどの高さはありませんので、おっ
しゃる通り、板塀で遮断していたことと推察いたします。
 馬出し側から攻められた場合、リバースで使用できるとのご指摘
は、なるほどですね。
 二つの張り出しには、櫓台が設置されていたとの御推察には、ま
ったくの同感であります。
 縄張りについて意見交換できることは、縄張りオタクの私にとっ
て、大いなる喜びであります。
 コメント感謝いたします。
立体構造物
武蔵様の分析は、初見ですね素晴らしいです。
上野の根小屋城と似た思想で造られていそうですねえ。
お書き忘れのことと思いますが
Dの守備兵の退路がありませんので
おそらく半枡形の突出部の先には門があり
本郭の半枡形側には突出部も含めて全て
板塀がめぐらされていたのではないでしょうか。
そうしますと、馬出し側から攻められ
Dが攻略された場合には
こちら側も枡形として機能しそうですね。
それと、E近くの本郭の出っ張りが気になります
櫓が立っていたら、効果が抜群な場所ですね。
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 犬居城の第4話です。 馬出しから、主要空間にはいると、細長いだけで、掘や土塁による遮蔽がありません。 しかも、断崖である南方向が削り残しで高くなっている。これって防御上の意味があるの?  横堀も主要空間の中央部分があいまいに感じられ、作りかけ? と、...
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